鳥取県鳥取市江津730
鳥取県立中央病院 中央放射線室内
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イベント報告2019

第10回 放射線治療および関連機器の安全使用のための研修会

日時 2019年2月23日(土) 9:00~12:00
場所 倉吉病院 3F 会議室
参加人数 16名

平成31年2月23日(土曜日)、倉吉病院にて標記研修会が開催されました。出席者は16名と鳥取県内の放射線治療に携わっている診療放射線技師のほぼ全ての方が出席されました。医療法施行規則において医療機器の保守点検、安全使用を確保する「医療機器安全管理責任者」の設置、および従事者に対する医療機器の安全使用のための研修会の実施、医療機器の保守点検に関する計画の策定や保守点検の適切な実施などが示されています。以下に研修会の内容を記載します。


講演.1 「ハイドロゲルスペーサーを使用した前立腺がんの放射線治療」

前立腺がんに放射線治療を用いた場合に生じる、直腸への有害事象(直腸痛、直腸合併症)を顕著に低減するシステムに注目が集まっています。放射線治療前にハイドロゲルを前立腺と直腸との間にエコー下で挿入し、両者の距離(スペース)を拡げることで、治療期間中の直腸線量を低減することが可能となります。留置手技は2018年6月より保険収載されました。今後、スペーサゲルを使用した方法がスタンダードになる可能性を感じました。


講演.2 「OCTAVIUS 4Dについて」

放射線治療装置や周辺機器などの開発を背景に放射線治療は高精度化が進んでいます。これにより、高精度な照射技術(IMRTやVMATなど)も、ひとつの選択肢として選べる環境になってきています。患者の安全と治療効果の確認、検証を確実に行うためには、今回学んだ機器等を使用して品質を担保することは、放射線治療に携わる技師にとって必要不可欠と感じました。


講義.3 「中国ブロック地域連携支援測定(パイロットスタディ)」 放射線治療品質管理機構

放射線治療における安全使用の判断の目安として、第三者機関による放射線治療装置の出力線量評価というプログラムがあります。この放射線治療の基本となる出力線量は、各施設担当者の責任の下に品質管理されているのが現状です。プログラムに参加し、出力線量結果が標準から乖離していると判断された場合は、施設への支援と協力を行う活動を、品質管理機構がパイロットスタディとして開始しました。国内を9ブロックに分けて地域内での相互支援体制を構築し、ブロック代表者を中心にサポート活動を行う体制となっています。


討論テーマ 「Morning QAについてもう一度考えよう」 会員発表

1.鳥取赤十字病院 藤田 綾 氏

2.鳥取県立厚生病院 朝倉 顕一 氏

前回からの継続したテーマとして企画され、今回は2施設より発表頂いた。

朝の品質管理は、安全を確認するために重要な業務であるという認識は出席者間で一致していた。早出などの人員体制や、朝の品質管理を業務時間内で実施するなど、環境は各施設の事情を踏まえた対応で実施していることを情報共有できた。現状を踏まえた上で、安全を確保するための体制作りについて活発な意見交換を行い、施設に持ち帰り検討するよい機会となった。


研修会は、治療に携わって間もない技師から熟練者までの参加があり、和気藹々とした雰囲気でした。今後も、継続した研修会の開催を望む声が聞こえてくる研修会となっています。

次回も、ぜひ参加しましょう。

鳥取県立厚生病院 朝倉顕一

第3回 東部地区研修会

日時 2019年3月1日(金) 18:30~20:00
場所 鳥取県立中央病院
参加人数 28名

今年度最後の東部地区研修会を鳥取県立中央病院で開催した。3演題を予定し、予定通り行うことができた。


1.Anaphylaxis Program ~ヨード造影剤副作用に対応する~

富士製薬工業㈱ 丸山憲一氏


ヨード造影剤によるアナフィラキシーショックへの対応について、DVD視聴を行った。頻度こそ多くはないものの、命に係わる副作用の一つであり、緊急対応が求められる。日常から意識し、備えをしておくべきであり、off-the-job-trainingと呼ばれるシミュレーショントレーニングが有効と言われている。DVDではシナリオに沿って、医師、看護師、放射線技師などの多職種を交えてのトレーニングを聴講した。

軽微な副作用であっても、「どのような対応がベターであったか」「実は他の対応方法があったのではないか」といった振り返りを行い、周知していくことが非常に重要であると感じた。


2.腹部3D-CTAにおけるLow kVの検討

鳥取県立中央病院 前田哲夫氏


腹部消化器領域における術前3D-CTAの低管電圧撮影の検討であった。体重あたりのヨード量は変えず、注入時間を短くして早期動脈相のみ100kVを使用した。その結果、有意にCT値の上昇を認め、VR画像を作成する際の描出能向上に寄与した。課題として、門脈相における低管電圧撮影があがった。今後の更なる検討に期待していきたい。


3.講演「脳血管撮影における技師の腕の見せ所」

講師 鳥取大学医学部附属病院 岩田直樹氏


脳血管領域における血管撮影について講演していただいた。基本的なことから応用まで多くのことについて学んだ。

ポジショニングが正面位になっていること、DSA撮影の時は嚥下をしないように説明し、画像のブレを抑制して鮮明な画像の提供を可能にすること、血管の状態やカテーテル先端の位置によりフローレートや造影剤量を適宜調整すること、回転3D撮影の際には最適な時相で撮影がなされるように心がけること、留置しているステントの種類によって、使用する造影剤を希釈して濃度調節を行っていることなど、より良い画像提供を行う為に、様々なことを常に心がけているということが分かった。また、それらについて多くの検討をされているようであった。

日頃から疑問に感じた事を一つひとつ明確にしていく作業が必要であり、それがより良い画像に繋がり、次のステップへ導いてくれるものであると感じた。

上山 忠政

  • 3月1日東部地区研修会写真01
  • 3月1日東部地区研修会写真02